
二村 僕自身は時計について詳しくないですし、デザインのベースが決まっている上で僕が求められていることはなんだろうと考えたんです。元々、INDEPENDENTはモノトーンな印象があって、黒い時計が印象的でした。消費者に対してコラボレーションしているということをわかりやすく表現できるアレンジの方法を考えた時に“白”という色を思いついたんです。僕も白と黒では、白のほうが好きなので、自分のイメージを投射するには“白”という色がわかりやすいんじゃないかと。
前田 原型となったモデルはメタルバンドだったのですが、白い金属というのは作れないのでプラスティックなどでプロトタイプを作ったりしたのですが、どうしてもチープな印象になってしまうので、では、レザーベルトで“白”を表現すればいいんじゃないかと途中で、修正を加えていったんです。
二村 エレガントさを残しつつ、白という分量を増やすにはどうすればいいかということで皆さんのアドバイスを聴きながら進めていきました。僕は洋服業界しか知らないんですが洋服だと修正点を伝えると1週間前後でサンプルが上がってくるんです。でも、時計はそう何回もサンプルが作れない。だから、最初はファーストインプレッションでざっくりと素材を選びました。そこで、あがってきたそれぞれのパーツを組み合わせてみるとパーツごとに素材が違うので白が調和しないんですよね。なので、フェイスの白を基調にトーンを合わせて「フラットな白」をもう一度作ってもらったんです。
岩井 今回は二村さんのイメージを形にしていくことが僕達のこだわりでもあったんです。一口で「白」といってもパーツごとに素材が違う。革バンド、ガラスの下のフェイス、金属の文字板、液晶画面という違う素材を一つの「フラットな白」にまとめることにはこだわりました。
岩井 二村さんとのやり取りの中で“実物を観なくちゃわからない”という言葉を二村さんから何度か頂いたのが新鮮でしたね。我々、デザイナーチームだけでデザインを作るときは、慣れが出てきて、サンプルを作る回数も限られているし、納期も限られているので、ある程度、頭の中でイメージを膨らませて進めていくことが多いのですが、二村さんを見ていて“こだわることを諦めない”ということを教えていただきました。
森本 僕は、白い時計というコンセプトがすごく衝撃的でした。“金属には白がない”という常識にとらわれて、最初から“白い時計”を作ることを今までしなかったのですが、“世の中には、こんなに白いものが溢れているのに”っていうニ村さんの素朴な疑問から探求していくことで、僕達の仕事の幅が広がったような気がします。
二村 自分のライフスタイルの中でも白の分量は多いですね。でも、その中でも軽薄な白は苦手でピュアな白が好きなんです。ちょうど、今ミニマルアートがすごく好きなんです。ミーティングの中でも家具やアートの話をしていたんですけど。ソルルウィットの不完全な立方体とかが好きなんですよね。今回の時計のケースも白で統一したんですが、マットな雰囲気だったりとてもいい仕上がりだなと思います。
二村 一番、地味派手な色。生活の中に欠かせない色なので奇をてらった感はないですよね。写真をとるときも白バックだと気持ちが良かったり、そういう普遍的な感性を持つ色だと思います。自分自身も白が好きなんでしょうね。部屋の中でも白の占めている分量が多い。スタイリングでも白を使うことが多いんです。この時計を見たときにすごくミニマルな印象で僕が表現するなら白かなと。