

「僕の場合、まず人間の意識から入ることが好きなんです。特に若い人達は携帯電話を時計代わりにしている人も多いから、腕時計はよりファッションとしてのアイテムになってきていますよね。で”どうすれば腕時計を見るだろう?”と。腕時計を見る意識というところにインスピレーションを得ました。腕時計を見る瞬間が意外と少ない世代だからこそ逆に見るようにさせたいと思って。この腕時計は一瞬見ると文字板全体がカーキ一色でよくわからないけど、”え?”とよく見ると全ての掘りの深さが違っていて、読めるようになっている」
「そうなんです。あえて、わざわざ覗き込ませるようにしたんです。文字板に刻まれている文字自体も、めちゃくちゃ細かいですから(笑)。シチズンさんには大きな手間をかけたと思うんですが、文字の間隔をものすごい細かくしてもらったんですよ。僕の服作りもそうなんですが、こんな風に細かい文字が規則的に並んでいるのが好きなんです。これを作っていただくのは、おそらくとても大変な手間がかかっただろうと思います」
「この色出しもこだわったところのひとつですね。ベースとなったモデル(ITT21-5191)のガラスが覆うことで何をしてもエレガントに見えることがわかっていたので、ヘルメットのようにマットなカーキ色で作ってもらいました。バンド部分もツヤ消しで。基本的にツヤ消しのものが好きなんです」
「これが一番”ない”ということ。あとはやっぱり”面白い”ということに尽きますね。カーキ一色で凹凸だけで読ませる腕時計は、他に見たことがないのでそれが面白いかなって。”面白い”というのは単純にワハハと笑えるということではなくて、ユーモアセンス的に”面白い”。”ああ、こういうのをやるのか、面白い”というところで物を作りたかったんですよ。腕時計をデザインして僕より優れたデザイナーの方はたくさんいると思うんですけど、僕の持ち味はそういうユーモアのセンスを入れることだと思っているので」